突然ですが、電気回路の問題です。

複数の抵抗と分岐で構成された次の回路について、A–B間の合成抵抗は何Ωになるでしょうか?
抵抗の数が多く、分岐も何段かあるため、一見すると難しそうに見えます。
しかし、直列接続と並列接続になっている部分を順番にまとめれば、簡単な回路へ変換できます。
先に答えをお伝えすると、A–B間の合成抵抗は、
10Ω
です。
なぜ10Ωになるのか、順番に解説します。
「小さい抵抗だけに電流が流れる」は間違い
最初に、よくある考え方を紹介します。
今回の回路には、4Ωと8Ω、6Ωと10Ωなど、抵抗値の異なる経路が存在します。
そこで、
電流は抵抗値の小さい方へ流れる
と考え、小さい抵抗だけを通る経路を選ぶとします。
この考え方では、次のような経路をたどることになります。
- 最初に6Ωを通る
- 4Ωと8Ωの分岐では4Ωを選ぶ
- 次の分岐では6Ωを選ぶ
- 最後の4Ωと8Ωの分岐では4Ωを選ぶ
すると、6+4+6+4=20
となり、合成抵抗は20Ωだと考えてしまいます。
しかし、これは正しくありません。
並列回路では両方の経路に電流が流れる
抵抗値が異なる2つの経路が並列になっている場合、電流は小さい抵抗だけを流れるわけではありません。
両方の経路に電流が流れます。
ただし、抵抗値の小さい経路には多くの電流が流れ、抵抗値の大きい経路には少ない電流が流れます。
したがって、特定の経路だけを選び、その抵抗値を足し合わせても、回路全体の合成抵抗を求めることはできません。
複雑な回路は端から整理する
今回のように抵抗と分岐が多い回路では、全体を一度に理解しようとすると混乱しやすくなります。
まずは、明らかに直列または並列になっている部分を探しましょう。
ポイントは、
まとめられる部分から、1つずつ抵抗をまとめる
ことです。
10Ωと2Ωの直列接続をまとめる
最初に、回路の右側にある10Ωと2Ωの抵抗に注目します。
【10Ωと2Ωを強調した図を挿入】
この2つの抵抗の接続点には、ほかの分岐がありません。
そのため、10Ωと2Ωは直列接続です。
直列接続の合成抵抗は、抵抗値を足し合わせて求めます。\[ 10+2=12\Omega \]
したがって、10Ωと2Ωを1つの12Ω抵抗へ置き換えることができます。
【10Ωと2Ωを12Ωへ変換した図を挿入】
同じ電位間につながる抵抗を探す
次に、配線でつながっている点を電位ごとに色分けします。
【電位を色分けした回路図を挿入】
理想的な配線では、途中に抵抗などの部品がなければ、配線で直接つながっている点は同じ電位になります。
各抵抗の図上の向きではなく、
- 抵抗の一端がどの電位につながっているか
- もう一端がどの電位につながっているか
を確認します。
同じ2つの電位間につながる抵抗は、並列接続です。
6Ωと12Ωを並列の4Ωへ変換する
右側にある6Ωと、先ほど計算した12Ωに注目します。
この2つの抵抗は、どちらも同じ2点間につながっています。
したがって、6Ωと12Ωは並列接続です。
並列接続の合成抵抗は、次の式で計算します。
1/R=1/6+1/12
通分すると、
1/R=2/12+1/12=3/12=1/4
したがって、R=4Ω
です。
6Ωと12Ωの並列接続を、1つの4Ω抵抗へ置き換えます。
【6Ωと12Ωを4Ωへ変換した図を挿入】
4Ωと8Ωの直列接続をまとめる
回路を書き換えると、先ほど求めた4Ωと8Ωが直列に接続されていることが分かります。
直列接続なので、抵抗値を足し合わせます。4+8=12Ω
この部分を、再び1つの12Ω抵抗へ置き換えます。
【4Ωと8Ωを12Ωへ変換した図を挿入】
再び6Ωと12Ωを並列にする
変換した回路を見ると、6Ωと12Ωが同じ2点間につながっています。
この2つも並列接続です。
先ほどと同じ計算になります。
1/R=1/6+1/12=1/4
したがって、合成抵抗は4Ωです。
【6Ωと12Ωを4Ωへ変換した図を挿入】
4Ωと4Ωを直列の8Ωへ変換する
次に、計算によって求めた4Ωと、もともと回路にあった4Ωが直列になります。\[ 4+4=8\Omega \]
この2つを、1つの8Ω抵抗へ置き換えます。
【4Ωと4Ωを8Ωへ変換した図を挿入】
8Ωと8Ωの並列接続を計算する
変換後の回路には、同じ2点間につながる8Ωの抵抗が2つあります。
同じ抵抗値が2本並列に接続されている場合、合成抵抗は元の抵抗値の半分になります。
式を使って計算すると、次のようになります。
R=1/8+1/8=1/4
したがって、R=4Ω
です。
【8Ωと8Ωを4Ωへ変換した図を挿入】
同じ計算をもう一度繰り返す
ここまで回路を整理すると、先ほど求めた4Ωと、もともとの4Ωが直列接続になります。
4+4=8Ω
さらに、その8Ωと別の8Ωが同じ2点間につながっているため、並列接続になります。
1/R=1/8+1/8=1/4
したがって、この部分も4Ωへ変換できます。
【最後の8Ω同士を4Ωへ変換した図を挿入】
最後に6Ωと4Ωを足す
回路を段階的に整理した結果、最後に残るのは6Ωと4Ωの直列接続です。
直列接続なので、抵抗値を足し合わせます。6+4=10Ω
したがって、A–B間の合成抵抗は、
10Ω
となります。
複雑な合成抵抗を求めるコツ
今回のような複雑な回路は、次の手順で考えると解きやすくなります。
- 明らかに直列になっている抵抗を探す
- 直列抵抗を1つにまとめる
- 配線でつながった点を電位ごとに色分けする
- 同じ2点間につながる抵抗を探す
- 並列抵抗を1つにまとめる
- 回路図を書き直す
- 直列と並列の計算を繰り返す
一度にすべての抵抗を計算する必要はありません。
1か所を計算するたびに回路を書き直すと、次にまとめられる部分が見つけやすくなります。
直列接続と並列接続の見分け方
直列接続
2つの抵抗の間に分岐がなく、同じ電流が続けて流れる接続です。
合成抵抗は足し算で求めます。\[ R=R_1+R_2 \]
並列接続
複数の抵抗が同じ2点間につながっている接続です。
合成抵抗は次の式で求めます。\[ \frac{1}{R} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2} \]
回路図上で抵抗が横並びになっているか、縦並びになっているかは関係ありません。
抵抗の両端が同じ点につながっているかどうかで判断します。
直列・並列接続の基礎は、抵抗の直列接続と並列接続の解説から内部リンクすると、初心者にも理解しやすくなります。
よくある質問
抵抗値の小さい経路だけに電流が流れるのですか?
いいえ。並列回路では、基本的にすべての経路に電流が流れます。
抵抗値の小さい経路には多く、抵抗値の大きい経路には少ない電流が流れます。
並列接続は横並びの抵抗だけですか?
回路図の向きや配置は関係ありません。
2つの抵抗の両端が同じ2点につながっていれば、並列接続です。
複雑な回路を一度に計算する方法はありますか?
キルヒホッフの法則などを使って解析することもできます。
ただし、今回の回路は直列・並列の変換を順番に繰り返すことで解けるため、まずは簡単な部分からまとめる方法がおすすめです。
まとめ
今回のポイントをまとめます。
- 電流は抵抗値の小さい経路だけを流れるわけではない
- 並列回路では複数の経路に電流が分かれて流れる
- 直列接続は抵抗値を足し合わせる
- 同じ2点間につながる抵抗は並列接続
- 同じ電位の点を色分けすると接続を判断しやすい
- 複雑な回路は、端から少しずつ簡単にする
- A–B間の合成抵抗は10Ω
一見複雑な回路でも、直列と並列に分けて1つずつ整理すれば、基本的な計算だけで答えを求められます。
動画では回路が変換されていく様子を図で確認できます。ぜひ動画と一緒に挑戦してみてください。
【今回のYouTube動画を埋め込む】
前回の合成抵抗問題はこちらです。

