指定した抵抗値をいくつにすれば 5Ω を無視できるのか?
電気回路の解析では、特定の抵抗を「無視できる状態」にしたい場面があります。
今回は、並列回路の途中に挿入された 5Ω の抵抗を無視するには、別の抵抗値をいくつに設定すればよいかという問題を扱います。
問題設定

端子 A と B の間には複数の抵抗が並列接続されています。
その並列経路の途中に 5Ω の抵抗が挿入されています。
この 5Ω に電流が流れないようにするには、 指定された位置の抵抗値をいくつにすればよいか?
よくある誤った考え方

ある人は次のように考えました。
- 5Ω の両端の抵抗値が等しければ電流は流れないはず
- 右側は 2Ω + 4Ω = 6Ω
- 左側の 1Ω に 5Ω を追加して 6Ω に揃えればよい
- よって答えは 5Ω
しかし、これは誤りです。 正しい答えは 2Ω になります。
抵抗を無視するための前提知識
抵抗に電流が流れない条件は、
抵抗の両端の電位が同じであること
です。
つまり、5Ω の左右の電圧が等しくなるように回路を調整すれば、 その抵抗は「存在しないのと同じ」状態になります。
回路に 6V を印加して考える
端子 A–B 間に 6V を加えて解析します。
1. 右側のループ(2Ω + 4Ω)

- 合計抵抗:6Ω
- 電流:6V ÷ 6Ω = 1A
よって、
- 2Ω での電圧降下:2V
- 右側の 5Ω の端子電圧:6V − 2V = 4V
つまり、5Ω の右側は 4V になっています。
左側も 4V にするには?

5Ω に電流を流さないためには、 左側の電圧も 4V にする必要があります。
左側のループを見ると、
- 6V → 1Ω →(求めたい抵抗)→ 0V
1Ω の電圧降下は、
- 6V → 4V なので 2V
よって 1Ω に流れている電流は、
- 2V ÷ 1Ω = 2A
求めたい抵抗値を計算する

求めたい抵抗には、
- 電圧:4V
- 電流:2A
が流れるため、オームの法則より
LTspice で動作確認
実際に LTspice でシミュレーションすると、
● 抵抗を 2Ω にした場合
- 流れる電流:ほぼ 0A(約 0.07A)
- 両端電圧:左右とも 4V → 5Ω に電流が流れない
● 抵抗を 5Ω にした場合
- 流れる電流:約 140mA
- 両端電圧差:約 0.7V → 5Ω に電流が流れてしまう
理論とシミュレーションが一致します。
まとめ
- 抵抗を無視するには 両端の電位差が 0V である必要がある
- 回路全体の電圧分布を計算し、必要な電流と電圧から抵抗値を求める
- 今回の問題では、求める抵抗値は 2Ω
