初心者でもわかるキルヒホッフの法則|3つのループで電流を求める実践例

複雑に見える電気回路でも、オームの法則キルヒホッフの法則を使えば確実に解けます。
今回は、6V の直流電源と 1Ω・5Ω・2Ω・4Ω・3Ω の抵抗で構成された回路について、 各抵抗に流れる電流を求める問題を扱います。

回路の構成

6V の電源から以下のように抵抗が接続されています。

  • 左側:1Ω → 5Ω
  • 右側:2Ω → 4Ω
  • 左右の途中をつなぐ:3Ω

一見すると単純な並列回路に見えますが、中央の 3Ω が左右の回路を結んでいるため、電流が分岐・合流する複雑な回路になっています。

ある人の誤った考え方

ある人は次のように考えました。

  • 左側(1Ω + 5Ω = 6Ω)に 6V → 1A
  • 右側(2Ω + 4Ω = 6Ω)に 6V → 1A
  • よって左右の抵抗にはすべて 1A が流れる
  • 中央 3Ω の電圧差は
    • 左:6V − 1A×1Ω = 5V
    • 右:6V − 1A×2Ω = 4V → 差 1V → 3Ωに 1/3A

一見正しそうですが、この考え方には重要な欠点があります。

正しい考え方:電流の経路(ループ)をすべて考える

この回路には、実は次の 3つの独立したループ が存在します。

  1. 外側を回るループ(赤)
  2. 左側のループ(緑)
  3. 1Ω → 3Ω → 4Ω を通るループ(紫)

キルヒホッフの法則では、 同じ経路を同じ方向に流れる電流は足し合わせてよい というルールがあります。

そこで、次のように電流を定義します。

  • 1Ω を流れる電流:Ix
  • 3Ω を左→右に流れる電流:Iy
  • 2Ω を流れる電流:Iz

このとき、5Ω と 4Ω を流れる電流は次のように表せます。

  • 5Ω:もともと Ix が流れるが、途中で Iy が分岐する → IxIy
  • 4Ω:もともと Iz が流れるが、途中で Iy が合流する → Iy+Iz

各ループにキルヒホッフの法則を適用する

① 外側のループ(赤)

6=2Iz+4(Iy+Iz)

② 左側のループ(緑)

6=Ix+5(IxIy)

③ 1Ω → 3Ω → 4Ω のループ(紫)

6=Ix+3Iy+4(Iy+Iz)

これら 3 本の式を連立して解きます。

連立方程式を解いた結果

Ix=1.161 A

Iy=0.193 A

Iz=0.871 A

各抵抗に流れる電流

求めた電流を使って、5Ω と 4Ω の電流も計算できます。

IxIy=1.1610.193=0.968 A

Iy+Iz=0.193+0.871=1.064 A

3Ω の電流の向きについて

3Ω を流れる電流 Iy の向きは、最初に仮定した「左→右」で正しかったことが、 計算結果(正の値)からわかります。

もし逆向きに仮定して式を立てると、

Iy=0.193 A

となり、負号が「向きが逆だった」ことを示すだけで、 最終的な電流値は同じになります。

まとめ

この問題は、見た目以上に複雑な回路ですが、

  • オームの法則
  • キルヒホッフの法則(電圧則・電流則)
  • ループ電流法

を使えば確実に解けます。

複雑な回路ほど、 「どの電流がどの経路を通るか」を丁寧に整理することが重要です。

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